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勅使川原三郎「Absolute Zero」絶対零度

June 2, 2017

世田谷パブリックシアターの開設20周年を記念して上演される作品のひとつ、勅使川原三郎「Absolute Zero」絶対零度を観て来ました。

 

 

20年前に同劇場のオープニングシリーズのひとつでもあった、この作品が、長い時を経て、どんな風に生まれ変わるか、満席の観客の昂揚感が伝わってくる会場でした。

 

絶対零度って何でしょう?

ウィキさんによると、

「温度は、物質の熱振動をもとにして規定されているので、下限が存在する。それは、熱振動(原子の振動)が小さくなり、エネルギーが最低になった状態である。この時に決まる下限温度が絶対零度である。古典力学では、エネルギーが最低の状態とは、原子の振動が完全に止まった状態である。」

 

ということで、私たちが普段使う摂氏(℃)で表す所の、-273.85℃だそうです。

 

つまり

 

絶対零度=全ての物質が止まる温度。

そこにダンスが存在する?

 

勅使川原三郎の表す「絶対零度」は、宇宙であり、分子であり、無限であり、風であり、揺蕩う水面であり、草原であり、流れる雲であり、静寂であり、ワルツでした。

 

作品は3部に分かれ、先ず勅使川原と佐東利穂の美しいデュエットから始まりました。

無機質な、でも宇宙を想像させるような大音量の音をバックに、ゆっくり動き始め、まるで宇宙のような大きな絵を見せたかと思うと、次は激しい動きとなって、空気中の、そして私たちの細胞の中の分子や原子がぶつかり合って反発し、また融合して増殖するような、ミクロより小さな世界を彷彿させます。

 

宇宙から分子へ、見事な瞬間移動でした!

 

そしてスクリーンには人型が流れていき、

二人の見事な踊りに、ただただ圧倒される至福の時。(あゝ、ずっと観ていたいなあ)

 

金属音のような、縦笛のような音を合図に、場面がゆっくり変化していきます。

 

第2部は、有機物代表ピアノ曲

一転して舞台に生命が動き出します。

 

ここの転換、直木賞「蜜蜂と雷鳴」以来、すっかりピアノ曲ばかり聴いている私のストライクゾーンにどーん!と刺さって来ました。恩田風に言えば、「指先に光が、足元に草原が、そして遠くから吹いてくる風が見えた」、という所でしょうか。そして確かに勅使川原が耳元で何か言った(?)と思う瞬間がありました。

 

第1部があったからこその第2部。瑞々しさが際立ちます。

ゆっくりと、ゆっくりと、生命を愛おしむように、優しく力強く勅使川原の腕がしなります。雄弁なムーブメントであり、雄弁な表情でした。まるで20年前に戻ったんじゃないかと思うように、とても若々しい青年のような表情も見え隠れしていました。

 

後はもう、私にとっては音の海。

 

ワルツあり、クラリネット協奏曲あり。

音楽を可視化している作品ではないとは言え、何だかとっても楽しい時間。

 

絶対零度に向かって下降していく間の、不思議な体験。

両腕を広げて楽しそうに踊る勅使川原を観ていたら、一緒に踊りたくなりました。

とうとう化学反応が客席にまで浸透してきたということか!

 

最後は再び静寂と、静止が訪れ、絶対零度の塊が舞台に残りました。

 

下の写真は劇場の階段横にディスプレイされた、過去のポスターたち。

もう20年だけれど、まだ20年。

これから、もっともっと新しい作品を生み出し続ける劇場であって欲しいな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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